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今は暗渠となってしまった烏山川。この烏山川沿いに、下流から池尻、三宿、太子堂があります。その辺りの魅力資源をノンジャンルで発掘していきます。地元民には「オシャレな三宿」とかって、納得できませんしね。でしょ?
Posted by - 2025.05.11,Sun
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Posted by ムルギー - 2008.04.12,Sat
……三軒茶屋の部屋は、仕事場として私だけが通った。中目黒から渋谷の大橋まではバス。のりかえた玉電車の三宿の駅で降りると、次第に静かな住宅地が続く。弁当のおかずを持参していないときは途中の小さな天ぷら屋で天ぷらを買った。(中略)小川に沿った道を折れ曲がって仕事場に着く。
六畳、四畳半の和室で、浴室はついていなかった。(中略)まだ居住者が多くない上に、小さな三棟のアパートは、ひっそりとしていた。(中略)
玉電の三軒茶屋の停留所に出るには、古い家並みの低い、妙に暗い感じの細道を通りぬけねばならない。貸し本屋があり、下駄の歯入れ屋があり、豆腐屋があり、コロッケや精進揚げを揚げながら売る、貧乏くさい惣菜屋などが並んでいた。とりの餌や野菜草花のタネを売る店、便利屋、鋸の目立て屋、どれも沈みこんだような小さな店が、今にも崩れおちそうに建っている。(中略)その細道をつきぬけると、三軒茶屋から坂を降りてくる商店街の大通りに出る。その角まで出ると。急に風通しがよくなったような気持ちがしたのだから、あの暗い細道が、妙に風当たりの悪い場所だったにちがいない。

以上、武田泰淳『目まいのする散歩』の中の『いりみだれた散歩』からの抜粋です。
前にも書いたように、三棟のアパートというのは、三宿の都営アパートです。妙に暗い感じの細道というのは、下の谷通りですね。ここには抜粋しませんでしたが、下の谷通りに中国人のやっている安い中華料理屋があり、けっこうお気に入りだったようです。小川というのは烏山川ですね。まだ小川だったんですね。
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HN:
ムルギー
年齢:
69
性別:
非公開
誕生日:
1955/11/12
職業:
下等遊民
趣味:
めまいのする散歩
自己紹介:
中国四川省の深山で生を受け、三歳にして四書五経、平凡パンチなどを読破。その後世界を放浪する資金に恵まれず、四川省とは似ても似つかぬ烏山川流域を放浪。水宿を終の棲家と決め、今日に至る。
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